背中を見て育つ。/だるまや西武に [見聞記いろいろ]
ハダカは目の前にあるのか/竹橋、国立近代美術館にて [見聞記いろいろ]
祝福!、そして刺激を/トリニティドライブ & yotuya tenera に [見聞記いろいろ]
アクロス・ザ・ユニバーサルデザイン/トリニティドライブ試乗 [見聞記いろいろ]
自然の似姿は何か/ある住宅の見学会にて [見聞記いろいろ]
ソトを取れ入れるために/yotuya tenera見学→鍋→FNS歌謡祭 [見聞記いろいろ]
四谷駅に程近い、
集合住宅の見学会に行ってきました。
設計は小山光さん率いるキーオペレーション。
http://www.keyoperation.com/index.html
建物名は「yotuya tenera」
床面積30㎡前後の12の賃貸住戸からなる集合住宅です。
建物というか敷地を取り囲む、住宅やアパートの大きさ、かたち、
その手摺や階段等、住宅の表情、雰囲気を作り出すアイテム、
また家と家、敷地と敷地の間に作り出されるスキマやヌケ…
これらをよく調査することから設計が始まっていることが伝わってきます。
yotuya tenera では 四谷の住宅街とつながってる気持ちよさを感じました。
その「つながり感」が必ずしも広くない住戸面積以上の気持ちよさをもたらしている。
つながり感は家のナカ(室内)とソト(室外)が「呼応」していることで生み出される。
家のなかではなく家の外にスケールや生活感を感じるアイテム、空間がある。
玄関に入った時、窓から見える風景のスケール、
屋根や、隣の家と家のスキマ、ヌケ、
アパートの階段、ベランダ、スキマに置いた植木鉢等、
外にあるスケールが家のウチに入り込んでくる。
家のウチは、ソトの景色に呼応しているように、凸凹していたり、L型だったり、微妙なニッチがとってある平面。
ラーチ合板の家具や打ち放しの天井、ラフな無垢材のフローリングと、窓から入ってくる隣の建物の
吹付の外壁や板金の屋根に負けない素材感、仕上感の「呼応」がある。
窓から見える隣地の景色のスケールや素材感と、室内のスケールや素材感が「呼応」することで、
室内外に同じスケール感というか空気といいますか、つながり感をつくることができる。
…そんなことを考えながら、楽しく見学させていただきました。
見学会にお邪魔させていただき、ありがとうございました。
その後、学校の授業を経てお仕事終了。
近所の友人宅で鍋パーティ。
宮崎より送られてきた地鶏の鍋ウマっ!
何故かFNS歌謡祭の録画をみて盛り上がることに…。
少女時代の足振りにて盛り上がる方々。
師走の夜の正しい過ごし方です。
7尺4寸または2250㎜/白井晟一展&吉村順三「軽井沢山荘B」見学記 [見聞記いろいろ]
先日の日曜日、軽井沢見学ツアー報告記も第3回。
ちょっぴり遅いお昼ご飯でお腹を満たし、
いよいよ建築家吉村順三の「軽井沢の山荘B」の見学へ。
第1回「きたないがきれいにかわるとき」
http://saw.blog.so-net.ne.jp/2010-10-18
第2回「図面を見ると腹が減る」
http://saw.blog.so-net.ne.jp/2010-10-20
通称「軽井沢の別荘B」と呼ばれている別荘は旧軽井沢の脇田美術館にあります。
画家である脇田和氏が、友人の建築家吉村順三氏に依頼し建てられました。
美術館はもともとの別荘の敷地内に建てられたようですが、
今行くと、美術館の敷地内に別荘が建っている様に見えます。
<脇田美術館>
http://www.wakita-museum.com/index_02.html
年に何度かこの別荘の内部が公開されています。それが今回の建築ツアーです。
外観は発表されている竣工当初の写真と違い、ペンキが塗られています。
それが結構かわいらしい。当初は自然の無垢材の表情のままだったようなので、
もう少し荒々しかったのかもしれません。
何故「山荘B」なのか。吉村順三氏自身の別荘である「軽井沢の山荘」が、あるからです。有名な別荘。学生の時の図面課題でまずトレースさせられる、別荘建築のお手本のような別荘。
設計をするときのお手本にと、僕も簡単な模型をひとつ、つくってあります。
「軽井沢の山荘B」もおそらく竣工当初は、写真のような自然との一体感を持っていたのかな。
湿気を避けるべく1階部分がコンクリートで高床的につくられています。
1階部分にボイラー室があり、コンクリート自体を暖めかつ、韓国のオンドルのように2階の床下に暖気を通しています。
部屋が庭に向かって並べられ、列車がカーブに差し掛かった時のように、
くの字に折れ曲がっています。
思わず手を振りたくなる。
カラマツがふんだんに使われた室内。
自然が思い切り入り込んでくる大きな開口部。
ずっと座っていたい暖炉前のイス。
うーん気持ちよすぎる…
家具やイス、テーブル、キッチン、洗面といった生活する上で大事な部分も
よくデザインされ、それでいて楽しそう!
設計者と画家である施主が、
一緒にデザインをつくっていったことが感じられます。
ピロティの天井高が気になって、早速実測。約2250㎜。
午前中みた白井晟一作のいくつかの建物の天井高にも7尺4寸=2220㎜が、
使われていました。
コルビュジェやF.L.ライトといった巨匠と呼ばれる建築家の設計に、
この2200+α位の寸法がよく使われています。
低いんだけど、手が届くほどでもない。
ちょっとこじんまりした落ち着く高さ。
見て触って、測って撮る。
百聞は一見に如かず、です。
図面をみると腹が減る/軽井沢建築ツアー その2 [見聞記いろいろ]
先日の日曜日の建築ツアー報告記、第二回です。
http://saw.blog.so-net.ne.jp/2010-10-18
ゆっくりと群馬県立近代美術館をみた後、開催されている白井晟一展へ。
http://www.mmag.gsn.ed.jp/exhibition/shirai.htm
学生時代の製図課題や卒業設計、富永讓+フォルムシステム設計研究所時代を通じて、ベニヤの製図板とT定規で図面を書いてきました。
(現在はベクターワークスというCADソフトにて図面を書いています)
手書き図面は、書くのが大変です。A1用紙一枚をビッシリ書き上げるのには相当なエネルギーを必要とします。新人の頃、丸一日図面を書いていると夜になり、あごや歯が相当痛くなってました。
歯を食いしばりすぎたのです。
図面は描く人間の意志をよく表します。力強い図面。繊細だけど正確な図面。
汚れて真っ黒だけど、何度も書き直した粘り強さが伝わる図面。
自信のなさがあらわれた薄々な図面…。
展示されている図面は、美しく力強い。
図面の描かれている内容がわからなくとも、描画としての美しさもあります。
なおかつ密度の濃い建物の詳細な検討が、図面から伝わってきます。
図面好きにはたまらない展覧会でした。
白井晟一展はこの後、東京は汐留のパナソニックミュージアムに巡回しますが、
図面の密度を受け入れるだけのゆったりした展示空間を持つ群馬県立近代美術館で観る方がよいと思います。
高崎から軽井沢へ移動。
美味しいけど高いと思ったら東京にも支店のある川上庵でした。
http://www.kawakamian.com/
アントニオバンデラス似の、すごく気の利く店員さんのサービス料かな。
美味しくとも、せいろ一枚では遠路軽井沢まで移動した、腹を満たせるわけでもなく、近くにあった腸詰屋にてホットドッグを。
高い蕎麦を食べた後だけに、コストパフォーマンスの高さに関心。
スミマセン、お店に並んだ試食までしっかりしてしまいました。
美味しかった。また食べます。
落ち着いたところで、ようやく吉村順三設計の「軽井沢山荘B」の見学へ。
次回に続きます。
きたないがきれいにかわるとき/群馬県立近代美術館見学記 [見聞記いろいろ]
空を見上げればとてもキレイなうろこ雲がみえた10月16日は土曜日。
高崎は群馬県立近代美術館で開かれている建築家の白井晟一展、
軽井沢で年に何回か公開されている軽井沢の山荘B(脇田邸)を巡るツアーに行きました。
信州方面にバイクで行けるシーズンもこれで最後かなぁと、
バンディットで出発。このあいだまで暑い日が続いていたのに、風が冷たい。
東京から2時間ほど高崎に到着。
群馬県立近代美術館は、日本を代表する建築家、磯崎新氏の設計です。
http://www.mmag.gsn.ed.jp/outline/about.htm
公園の駐車場にバイクを停め、気持ちのよい木立の中を抜けると、
四つん這いの動物みたいに池へ突き出した美術館が、出迎えてくれます。
美術館の中に入ると、巨大なホールが広がります。
ホールを支える柱や壁のほとんどはベニヤの跡も荒々しいコンクリート打ち放しで仕上げてあります。安藤忠雄氏の打ち放しに代表されるようなツルツルの打ち放しではありません。それが圧倒的にデカイ空間で迫ってきます。
ホールの一番奥まったところに、このデカイ空間に負けないように上層へ伸びる
大理石が貼られた崖のような壁があります。
大理石は2階の展示室へつながる階段の床や壁にも使われています。
コンクリートは近代建築を作り上げてきた代表的な素材。もちろん現代建築も。
大理石はパルテノンに代表される古代ギリシアの古典建築につながる素材。
それがガチンコでぶつかり合っています。
規則的な、人工的な金属パネルのグリッドによる外観を考えてみると、自然の緑や足元の池のゆらぎと対比されています。
木立の中で感じる光と金属パネルの光、
金属パネルの固さと足元の水面の柔らかさ、
外観の金属パネルのピカピカ感と、内部のコンクリートのザラザラ感
コンクリートのザラザラ感と大理石のツルツル感
自然と人工
現代と古代……
この建物にはいろんな「対」があり、そのことに考えが及んだとき、建築の奥深さを感じる仕掛けが随所に盛り込まれています。
大きなガラス面から差し込む光、
高い吹抜のハイサイドライトから降り注ぐ光、
大理石に映り込む屋外の自然の表情が、
荒々しく巨大であるはずのコンクリートの空間を
ゆったりした時間の流れを感じる気持ちのよい空間にしています。
建築はひかりなんだと、あらためて知らされた想いです。
…と、白井 晟一展をみる前から、既におなかいっぱいの日曜日。
次回のブログに続きます。
空間を使い切る(ある住宅の見学会に行く) [見聞記いろいろ]
偶然にも現場の近所でした。
設計者は、かつて僕が勤めていた設計事務所、
富永讓+フォルムシステム設計研究所時代の後輩で
現在アトリエ・フィッシュ代表 繁昌 朗氏。
昔と変わらぬナイスガイだ。
見学会の案内状に平面図が載っていたのだが、
平面図だけでは、1階と2階の高さ関係、部屋と部屋のつながり等が
わからない。
いや、わざとわからない様にして見学会に来る人のイメージを
ふくらますのが繁昌氏らしい。
建物内部を立体的なワンルーム空間として捉えながら、
1階は建物の大体真ん中に階段を置いて、
そのまわりにグルグルと大きさの違う部屋をつくっている。
2階のリビングダイニングをスキップフロアとして分節することで
適度な大きさの場所をいくつかつくっている。
それぞれの場所から見上げたり、見下ろしたりするのが楽しい。
2階の床がスキップしていることで、
1階の天井も高いところと低いところが出来る。
立体的にも平面的にもスキップしてる感じ。
部屋の大きさの割に天井がとても高かったり、
スキップフロアだけど天井や壁がひとつながりになってたり。
大きな壁や天井をみる視線の先に、
さらに青い空がみえる開口部がとってあったりと、
内部空間を使い切り、大きく感じさせる家だ。
繁昌氏らしいさわやかさを感じさせる住宅でした。
見学会に誘っていただき、ありがとうございました。