タイムマシンかストップウォッチか/SH-60に [見聞記いろいろ]

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久方ぶりにSH-60という名の住宅が見たくなって道草してみた。
1950年代〜60年代にSH(=スチールハウス)シリーズとして、
67棟の鉄骨住宅を設計した広瀬鎌二の1962年の作品。
6年程前、高田馬場にての打ち合わせから荻窪の事務所への帰り道、
天気も良いし、ウロウロと東中野への抜け道を探しに入って唐突に出くわした建築だ。
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細い鉄骨とワイヤーで支えられ斜面から飛び出した、今も過激な佇まい。
飛び出してる部分は空にのみ開かれたテラス、残りの斜面側に建ってる部分がテラス
と一体化するガラス張りのワンルームだそうな。
この建物の施主、当時超売れっ子だった夭折したイラストレーターは、
汚い東京の景色など見たくもないと、この閉じた箱の中で裸同然で暮らしていたという。
施主の過激さが、設計者をぶっ飛ばせ、時代を飛び越えた建築を成立させたのか。
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カンチレバーで地面より吊り上がった、空だけのテラスを想像してみる。
空があるから、閉じて切り取るのか。
閉じて切り取るから、空があるのか。
時を飛び越えるタイムマシンなのか。
時を止めたままのストップウォッチなのか。
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上の写真は6年前、建物に出くわした瞬間、スクーターを停めて撮った一枚。
当時は人が住んでいた、階段を挟んで建つ中野区の集合住宅が閉鎖されていた。
道路の曲がりに沿って緩やかにカーブする壁面、水平に流れ、連続していく感じ、
表面の薄い感じに、和風なモダニズムを感じる。
時を止めたように建物はあったけど、タイムマシンにはなれなかった。
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SH-60、これからも、
時を止め、時を超え続けて欲しい。
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通りすがり

20年くらい前に、この近くに住んでいました。当時は子どもたちがSH-60の下のギャラリーにあふれ、笑い声が響いていました。隣の小学校が閉鎖になったことは人づてに聞き知っていましたが、教員寮も閉鎖になったのですね(当たり前の成り行きか・・・)。ずいぶん時代を感じます。

懐かしさについ、コメントしました。
by 通りすがり (2013-06-02 19:06) 

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